アニメ『銀河英雄伝説』のリメイクによって、ヤン・ウェンリーへの注目が再び高まっています。
その中で、ファンの間では「ヤンウェンリー症候群」という言葉がよく聞かれるようになりました。
では、なぜヤン・ウェンリーはこれほど多くの人に愛されるのでしょうか。
本記事では、ヤン・ウェンリーの生涯や思想を振り返りながら、「ヤンウェンリー症候群」の意味や背景、具体的な特徴についても解説します。
ヤンの考え方は、単なる戦術や政治哲学にとどまらず、現代の世界経済や社会の仕組みを考える上でも示唆に富んでいます。
彼が重視したのは、民主主義の尊重や権力の腐敗に対する鋭い洞察、そして効率的かつ倫理的な意思決定です。
こうした価値観は、現代社会の問題と重なる部分が多く、ファンの共感を呼んでいます。
一方で、物語ではヤンと対比されるラインハルトのように、優秀な指導者の下で行われる独裁政治は、意思決定が迅速かつ効率的に進むという特徴も描かれています。
この「民主主義の腐敗」と「優秀な独裁政治のスピード感」の対比が、作品のテーマとして現代社会への示唆にもなっているのです。
記事のポイント!
- ヤン・ウェンリーの魅力とヤンウェンリー症候群の背景
- ヤンウェンリー症候群で読み解く、英雄ヤンの生涯
- 幼少期と家族の影響
- 士官学校入学の背景
- 天才戦略家ヤン、転科で周囲の評価を一変させる
- ヤン・ウェンリー、エルファシル救出作戦で英雄に――合理的戦術の光と影
- 魔術師ヤン・ウェンリー──戦場の天才、その素顔と栄達
- ヤン・ウェンリー強すぎる――圧倒的戦略眼がもたらしたクーデター鎮圧
- 嫌いクズ政府の嫉妬と無能――英雄ヤン ウェンリーに向けられた理不尽な査問
- ガウスブルク要塞破壊と最年少元帥――ヤン・ウェンリーの戦略的天才
- ヤン・ウェンリー強すぎ:歴戦の帝国名将たちを次々と撃破した天才の本気
- バーミリオン星域会戦 ヤン・ウェンリーが示した思想と民主主義の矜持
- 刃を交えた二人が語り合ったもの ヤンとラインハルトの停戦会談
- 停戦後の選択と迫りくる危機を越えたヤン・ウェンリー
- 回廊の戦いと皇帝との一時講和
- ヤン・ウェンリー最期の時――第八巻 第八十四話『失意の凱旋』
- ヤンウェンリー症候群とは?『銀河英雄伝説』ファン現象を解説の概要
ヤン・ウェンリーの魅力とヤンウェンリー症候群の背景
うまい紅茶を飲めるのは生きている間だけだから、
— メガネ。(はるコス) (@loveglasses0706) September 24, 2023
みんな死なない様に戦い抜こう。
ヤン・ウェンリー/『銀河英雄伝説』/田中芳樹#アニメ #アニメ名言 #銀河英雄伝説 #ヤンウェンリー pic.twitter.com/MCTFb48GNi
ヤンウェンリー症候群とは
ヤン・ウェンリーは自由惑星同盟軍の指揮官で、学者のように落ち着いた佇まいと、戦場で見せる卓越した戦術が大きな特徴です。
紅茶を好み、穏やかな物言いをする一方で、戦略面では執念めいた冷静さを発揮する——このギャップが、多くのファンの心を惹きつけます。
具体的には以下の魅力があります。
これらの要素が組み合わさることで、単なるキャラクターへの好感を超えた強い共感が生まれます。こうしたファン現象を、俗に「ヤンウェンリー症候群」と呼んでいるのです。
ヤンウェンリー症候群の具体的な“症状”
ファンが使う“症候群”の表現は冗談めいていますが、実際に見られる行動や心理はこんな感じです。
典型的な行動例
心理的側面
ヤン・ウェンリーがこれほど多くの人に愛される理由を紐解いてみましょう。
なんJ「ヤン・ウェンリーって孔明がモデルなん?」作者が語らない共通点を読み解く
ヤン・ウェンリーのモデルについて 作者の田中芳樹は「特定のモデルはいない」と明言しています
それでも多くの読者・なんjの間では彼の冷静な洞察力や戦略眼 民衆を思う姿勢から諸葛亮孔明を思わせる人物像が重なるという声が根強く存在します
歴史と思想に通じた軍師のように智謀によって大局を動かし 綺麗事では終わらない現実と向き合う姿その在り方が孔明を連想させるのかもしれません
銀英伝ヤン・ウェンリーがアメリカで人気急上昇 海外の反応と政治テーマの深い共鳴
海外で共感が広がる理由は、銀英伝の物語が持つ深いテーマ性です
現代アメリカ社会の分断や不安と驚くほど呼応しており
その鋭い描写が海外視聴者――とりわけアメリカのファンに強く響いています
海外で共感が広がる理由とは
銀英伝の物語が持つ深いテーマ性は
現代アメリカ社会の分断や不安と驚くほど呼応しており
その鋭い描写が海外視聴者――とりわけアメリカのファンに強く響いている
強力なリーダーを求める声が高まる一方で、その力が暴走するかもしれないという不安に怯える民衆もいる
国の未来を誰に委ねるべきなのかという揺れ動く葛藤は…まさに今のアメリカの姿を思わせるという声が多いです
考えさせられる:ヤン・ウェンリーの名言3選
戦争と命の価値 ― ヤン・ウェンリーが突いた日本の姿
人類の社会には、常に2つの思想の流れがあります。
ひとつは「人の命以上に価値があるものが存在する」という考え方。
もうひとつは「命に勝るものはない」という考え方です。
ヤン・ウェンリーが語ったように、人は戦いを始める時には前者を口実にし、やめる時には後者を理由にします。
この言葉を聞くと、どうしても太平洋戦争での日本を思い出さずにはいられません。
得てきた利権を失うことを恐れ、戦争を始める口実にした。
しかし、敗北が決定的になったときには「命に勝るものはない」と言って、降伏を選んだ。
歴史を振り返ると、ヤンの言葉がいかに鋭く人間社会の本質を突いているか、痛感させられます。
政治の腐敗とは何か ― ヤン・ウェンリーの視点で現代日本を見る
ヤン・ウェンリーの名言は数多くありますが、私が心に残っているのは名言はこれらです。
「政治の腐敗とは、政治家が賄賂を取ることではない。それはあくまで政治家個人の腐敗に過ぎない。真の政治の腐敗とは、政治家が賄賂を取っても、それを批判できない状態のことを言うのだ。」
この言葉を今の日本に当てはめて考えると、日本の政治は果たして腐敗しているのか、していないのか、自然と考えさせられます。
民主主義とは迂遠なものさ。そしてその上に、呆きれた民衆はいつも言うのさ。「偉大な政治家に強大な権限を与えて、改革を推進させろ」とね。民衆はいつだって、専制者を求めていたのではないか。
民衆は専制を求める? ヤン・ウェンリーが見抜いた政治の本質
ヤン・ウェンリーはこう語っています。
「民主主義とは迂遠なものさ。そしてその上に、呆れた民衆はいつも言うのさ。『偉大な政治家に強大な権限を与えて、改革を推進させろ』とね。民衆はいつだって、専制者を求めていたのではないか。」
この言葉は、現代の政治にも通じる部分があります。
民主主義はどうしても時間がかかり、スピード感に欠ける面があります。
そのため、ポピュリズムに迎合して人気取りを優先する政治家が増え、長期的で合理的な政策よりも、短期的な利益や感情的な主張が重視されがちです。
私たちはこれまでにも、そのような政治家を多く目にしてきました。そして現在の世界情勢を見ていると、人々が「迂遠でも民主主義を守るべきなのか」それとも「強力な指導者に託すべきなのか」――その選択を迫られているように感じさせられます。
ヤンウェンリー症候群で読み解く、英雄ヤンの生涯
軍隊というのは道具にすぎない。
— メガネ。(はるコス) (@loveglasses0706) December 20, 2023
それも無いほうがいい道具だ。
そのことを覚えておいて、
その上でなるべく無害な道具になれるといいね。#アニメ #銀河英雄伝説 #ヤンウェンリー pic.twitter.com/rgLDPw1vFq
幼少期と家族の影響

ヤンは幼い頃に母を亡くし、父に男手ひとつで育てられました。
幼い頃から歴史に強い関心を持ち、戦争や権力の乱用、民主主義の重要性について学びました。
ヤン・ウェンリーの父は、息子に商人の道を勧めました。しかし、ヤンは歴史の道を諦めず、大学進学の許可を得ようと努力します。
ところが、父が生還交易船の事故で急死してしまいます。さらに、父が所持していた美術品の多くが贋作であったため、家の財産はほとんど失われ、結果として大学に進学することは叶わなくなってしまいました。
士官学校入学の背景
ヤン・ウェンリーは16歳のとき、歴史を学ぶために自由惑星同盟の士官学校に入学しました。
当時、士官学校には「選手研究科」というコースがあり、無料で歴史や戦略を学べる点がヤンにとって大きな魅力でした。
ところが、ヤンが入学して間もなく、選手研究科が廃止されることが決定します。
もし退学する場合、学費の返還義務が発生するため、退学は現実的ではありません。
そこで、ヤンは同じ士官学校内の「戦略研究科」へ転科することを選びます
戦略研究科はエリートコースで、将来的に高い戦略能力が求められる人材を育成するためのカリキュラムでした。
この転科は単なる妥協ではなく、ヤン自身の実力を示す出来事でもあります。
校内の戦闘シミュレーションで、最優等生とされるワイドボーンに勝利したことで、校長であるシドニー・シトレからも高く評価されていました。ヤンの冷静な判断力と戦術眼が早くも認められた瞬間です。
天才戦略家ヤン、転科で周囲の評価を一変させる
「う~ん、んん、…ユリアン、もしもだ、もしも私が最高評議会に当選したら、まず朝のうたた寝を邪魔するやつを重罪にする法律を作ることにする…。」
— メガネ。(はるコス) (@loveglasses0706) September 20, 2023
ヤン・ウェンリー/銀河英雄伝説/田中芳樹#アニメ #アニメ迷言 #銀英伝 #ヤンウェンリー pic.twitter.com/rYmsHZZtPE
戦略研究科への転科によって、ヤンの人生は動き始めました。
戦闘シミュレーションでは、最優等生とされるワイドボーンに勝利し、周囲の評価も変わっていきます。
これは、ヤンが単なる勉強好きの少年ではなく、優れた戦略家としての才能が表れ始めたことを示しています。
この頃から、士官学校の校長であったシドニー・シトレも、ヤン才能を注目し、一目置くようになりました。
ヤン・ウェンリー、エルファシル救出作戦で英雄に――合理的戦術の光と影

ヤンは宇宙歴787年に士官学校を卒業し、少尉として統合作戦本部の記録統計室に任官しました。
当初、彼は10年勤め上げて退役軍人年金をもらうことしか考えておらず、「穀潰しのヤン」「無駄飯食いのヤン」と呼ばれていました。
しかし宇宙歴788年、惑星エルファシルから300万人の民間人を救出したことで評価は一変。少佐に昇進し、エルファシルの英雄として称賛されることになりました。
なおこの時、救出した民間人の中に、当時14歳で後に自身の副官、未来の妻になるフレデリカ・グリーンヒルがいました。
この作戦では、逃げる味方の艦隊を囮にして敵の注意を引きつけるという、ある意味残酷な戦術も取られました。この作戦でヤンワェンリーの合理的な面が見て取れます
魔術師ヤン・ウェンリー──戦場の天才、その素顔と栄達
第5次イゼルローン攻防戦に参戦したヤンは、同年7月頃に中佐に昇進しました。
その後、戦時孤児のユリアン・ミンツを引き取った際には大佐に昇進しています。
ユリアンの目を通して、だらしない私生活が垣間見え、読者はより身近にヤン・ウェンリーを感じられるようになります。
自由惑星同盟軍で華々しい栄達を遂げるヤン。
しかし本人はそんな地位や名声を全く望んでおらず、のんびりと軍隊生活を送り、退役後は年金で静かに暮らすことを夢見ていました。
しかし、時代は彼を必要としていました。
帝国の英雄ラインハルトが頭角を現すにつれて、ヤンも歴史の渦に巻き込まれていきます。
ヤン・ウェンリー強すぎる――圧倒的戦略眼がもたらしたクーデター鎮圧

宇宙歴七九七年
ラインハルト・フォン・ローエングラムの策略によって旧国防軍事会議がクーデターを引き起こします
ヤン・ウェンリーは各地で勃発した反乱を鎮圧しながら、首都ハイネセンへ向けて進軍します
五月十八日のドーリア星域会戦では ルグランジュ率いる第十一艦隊を撃破し
八月には首都ハイネセンの防衛装備であるアルテミスの首飾りを破壊し
軍事会議メンバーの戦意を徹底的に挫き クーデターを終結へと導きます
しかし この勝利の陰で新たな火種が芽生えてしまいます
嫌いクズ政府の嫉妬と無能――英雄ヤン ウェンリーに向けられた理不尽な査問
「出る杭は打たれる」と言われるように 宇宙歴七九八年
ヤンは同盟政府と軍政当局の一部から理不尽な反乱の嫌疑をかけられ
ハイネセンへ召喚され 非公式の査問会にかけられることになるのです
この扱いに深く嫌気が差し 、ヤンは退役を真剣に考え辞表を用意するが
最も効果的な場面で提出しようと機会を見極める悪癖が裏目に出て
ついにその絶好の機会を逃してしまう
ガウスブルク要塞破壊と最年少元帥――ヤン・ウェンリーの戦略的天才
その後 ガイエスブルク要塞来襲の報を受けた同盟政府は防衛命令を発し
ヤンは再びイゼルローンへ戻り指揮を執とります
特攻を仕掛けてくるガイエスブルク要塞を
巧みな戦術によって撃破し 司令官カール・グスタフ・ケンプを倒して勝利を収める
しかし宇宙歴七九九年
ラグナロク作戦によってフェザーン回廊を通過し 同盟領へ直接侵攻するという帝国の新戦略が明らかになり
イゼルローン要塞はもはや戦略的な意義を失うことになります
そのためヤンは要塞を放棄し ハイネセンへ帰還します
ヤン・ウェンリー強すぎ:歴戦の帝国名将たちを次々と撃破した天才の本気
この時 彼は同盟軍史上最年少の元帥へと昇進し
戦略戦術の全面的裁量が国防委員長アイランズから保証される
帝国の脅威が目前に迫る中、同盟政府もついに危機の深刻さを悟り
国家を救う最後の切り札としてヤン・ウェンリーにあらゆる権限を託す決断を下しました
つい先ごろまで理不尽な嫌がらせを続けていたというのに
いざ危機が迫ればヤン・ウェンリーに助けを求める。その厚かましさには驚かされるばかりです
艦隊を再編成して出動したヤンは多彩な計略を駆使して
- カール・ロベルト・シュタインメッツ
- ヘルムート・レンネンカンプ
- アウグスト・ザムエル・ワーレン
歴戦の名将を相手に次々と勝利を重ねていきます
バーミリオン星域会戦 ヤン・ウェンリーが示した思想と民主主義の矜持
バーミリオン星域会戦でヤンは
ラインハルト・フォン・ローエングラムとナイトハルト・ミューラーという
帝国最強の指揮官を相手にしながら 圧倒的優勢を築いていた
しかし ラインハルトの旗艦ブリュンヒルトをついに射程に捉えたその瞬間
ヒルダの提言を受けたミッターマイヤーとロイエンタールの艦隊が首都ハイネセンを占領し、
同盟政府からヤン艦隊に戦闘停止命令と無条件降伏の通達を発します
攻撃継続を主張したシェーンコップら幕僚の意見もはねのけ
ヤンは命令に従い戦闘を停止しました
戦いを続ければラインハルトを討ち取れた可能性はあった
しかしヤンは 民主主義国家の軍人として、政府の命令に従うことこそ正しいと信じ その道を選んだのです
その判断は民主主義の価値を守る行為でした
だが 、私はどこかで ヤンに命令を無視してでもラインハルトを討ってほしかったという思いが拭えないです
刃を交えた二人が語り合ったもの ヤンとラインハルトの停戦会談
停戦後の会談で ラインハルトはヤンに帝国元帥の地位を与えようと試みるが
ヤンはその誘いを静かに拒絶します
この会談では 戦場で刃を交えた二人が互いの思想や国家観 そして民主主義について語り合うひとときがあった。価値観は大きく異なりながらも相手の信念を正面から受け止めようとする姿勢にはどこか不思議な敬意が流れていました
宇宙歴七九九年五月二十五日
バーラトとの和約が結ばれ ヤンは退役し 一市民として生きる道を選びます
六月には 長年そばで支えてきた副官フレデリカ・グリーンヒルと結婚し
二人は束の間ではありながらも 穏やかで温かな時間を共に過ごすことになる
停戦後の選択と迫りくる危機を越えたヤン・ウェンリー
しかし七月
オーベルシュタインとレーネンカンプの策謀によって
同盟政府はヤンの暗殺を企て ヤンは深刻な生命の危機に晒されることになります
しかし 仲間たちの迅速な支援によってヤンは辛くも脱出に成功し
逆にジョアン・レベロとレーネンカンプを拘束して交渉に臨みます
その後 ヤンは五月二十五日にハイネセンを離れ
仲間と共に姿を消した
回廊の戦いと皇帝との一時講和
同年十二月
ヤンはエルファシル独立政府に身を寄せ 革命軍を組織し
再びイゼルローン要塞を奪還します
宇宙歴八〇〇年 回廊の戦いでは
アーダルベルト・フォン・ファーレンハイト
カール・ロベルト・シュタインメッツ
といった強敵を倒し 戦果を重ねていく
さらに皇帝ラインハルトとの会見を実現させ
一時的な講和を引き出すことに成功させます
ヤン・ウェンリー最期の時――第八巻 第八十四話『失意の凱旋』
難関を越え続けた民主主義の英雄は あまりにも早く散ることになります
会談へ向かう途中
ヤン・ウェンリーは地球教のテロリストによる襲撃を受けます
宇宙歴八〇〇年六月一日 午前二時五十五分
ビーム銃の銃撃によって左大腿部の動脈を損傷し
出血多量により わずか三十三歳で静かにその生涯を閉じます
アニメ『銀河英雄伝説 本伝』では第八巻 および第八十四話「失意の凱旋」にて
この痛ましくも崇高な最期が描かれています
ヤン・ウェンリー 死亡:33歳で散った天才軍略家で詳しく解説しています
ヤンウェンリー症候群とは?『銀河英雄伝説』ファン現象を解説の概要
記事の内容をまとめました。
アニメ『銀河英雄伝説』リメイクでの再評価
- リメイク版によってヤン・ウェンリーへの注目が再び高まっている
- その中で「ヤンウェンリー症候群」という言葉がファンの間で使われるようになった
- ヤンの思想は戦術や政治だけでなく 現代社会や世界経済を考える上でも示唆に富んでいる
ヤン・ウェンリーの価値観と作品テーマ
- 民主主義の尊重 権力腐敗への鋭い洞察 倫理と効率を両立した意思決定を重視
- ラインハルトの「優秀な独裁」と ヤンの「迂遠だが民主主義」という対比が作品テーマになっている
記事のポイントとして挙げられている要素
- 理知的で平和主義者だが 戦場では卓越した戦術を発揮する指揮官
- 紅茶や読書が好きで 日常のゆるさと軍人としての有能さのギャップが魅力
- 「ヤンウェンリー症候群」は 彼の口調や価値観を日常に取り入れるファン現象を指す
- 士官学校 統合作戦本部 第13艦隊司令官として活躍し 33歳で戦死する英雄として描かれる
ヤンウェンリー症候群とは何か
- ヤンの思想や話し方 ライフスタイルに強く共感し 真似したくなるファン現象
- 平和主義でありながら戦術では冷静かつ合理的に勝利を導くギャップ
- 学者肌で理知的だが 抜けた一面もある人間味
- 個人の自由や倫理を重んじる思想がファンの心をとらえている
ヤンウェンリー症候群の具体的な“症状”
- ヤンの口調を真似する 穏やかだけど刺さる言い回しを好む
- 紅茶 読書 歴史談義など ヤンの嗜好を日常に取り入れる
- 民主主義 個人の尊厳など ヤンの価値観を自分の考え方に取り込む
- ヤン中心の考察 二次創作 ファンアートが活発になる
- ヤン推しコミュニティに所属し 推しを通じて自己肯定感や帰属意識を得る
ヤンのモデル論となんJ的視点
- 作者は「特定のモデルはいない」と明言している
- それでもファンやなんJでは 諸葛亮孔明をモデル視する声が多い
- 冷静な洞察力 民衆を思う姿勢 智謀で大局を動かす点などが孔明を連想させる
海外の反応と現代アメリカとのリンク
- 銀英伝のテーマが 現代アメリカ社会の分断や不安と強く呼応している
- 強力なリーダーを求めながら その暴走を恐れる民衆の姿が今のアメリカを思わせる
- とくにヤンの政治名言が 海外ファンに刺さっている
- 「政治の腐敗とは 政治家がワイロを取ることじゃない それを批判できない状態のこと」など
ヤンの名言と思想の深掘り
- 戦争と命の価値について
- 人は戦争を始める時は「命以上の価値」を口実にし 終わる時は「命に勝るものはない」を理由にする
- 太平洋戦争の日本を想起させるものとして解説している
- 政治の腐敗について
- 腐敗とは賄賂そのものではなく それを批判できない状態であると指摘
- 現代日本政治にあてはめて考えさせられると述べている
- 民衆と専制について
- 民主主義は迂遠で遅いが 民衆はしばしば「強い指導者」に権限集中を求めてしまう
- ポピュリズムや短期的な人気取り政治と重ねて現代政治を批判的に見ている
幼少期と家族の影響
- 幼少期に母を亡くし 父の手で育てられる
- 歴史 戦争 民主主義に強い関心を持つようになる
- 父の急死と贋作問題により財産を失い 大学進学の道が断たれる
- 学費問題から 士官学校に進む決断をする
士官学校での転機
- 歴史を学ぶため士官学校の選手研究科へ入学
- 選手研究科廃止が決まり 戦略研究科へ転科
- 戦闘シミュレーションで最優等生ワイドボーンに勝利
- シドニー・シトレ校長から高く評価され 戦略家としての才能が認められる
統合作戦本部時代とエルファシルの英雄譚
- 宇宙歴七八七年 統合作戦本部記録統計室に勤務
- 当初は「無駄飯食いのヤン」と呼ばれるほどやる気無さげ
- 宇宙歴七八八年 惑星エルファシルから三百万人の民間人を救出し一躍英雄へ
- この時救った中に十四歳のフレデリカ・グリーンヒルがいた
- 味方艦隊を囮にするなど合理的だが冷徹な戦術面も描かれる
魔術師ヤンとしての栄達と素顔
- 第五次イゼルローン攻防戦参戦 中佐に昇進
- 戦時孤児ユリアン・ミンツを引き取り 大佐へ昇進
- ユリアンの視点を通して だらしない私生活や人間味が描かれる
- 本人は年金で静かに暮らしたいだけだが 時代に引きずられて英雄となっていく
クーデター鎮圧と査問の理不尽さ
- 宇宙歴七九七年 旧国防軍事会議のクーデターを鎮圧
- ドーリア星域会戦 アルテミスの首飾り破壊でクーデター終結
- その後 同盟政府の嫉妬や警戒から 反乱嫌疑で非公式査問を受ける
- 退役を考え辞表を用意するが タイミングを逸して提出できない
ガイエスブルク要塞戦とイゼルローン放棄
- ガイエスブルク要塞来襲を受け イゼルローンで指揮
- 特攻を仕掛ける要塞を撃破し ケンプを討ち取る
- ラグナロク作戦により イゼルローンの戦略的価値が低下し 要塞を放棄してハイネセンへ
最年少元帥と同盟政府の手のひら返し
- 同盟軍史上最年少の元帥に昇進
- 国防委員長アイランズから戦略戦術の全権を与えられる
- つい先日まで嫌がらせをしていた政府が 危機になった途端ヤンにすがる厚かましさを批判的に描写
- シュタインメッツ レンネンカンプ ワーレンら帝国名将を次々撃破
バーミリオン星域会戦と思想的な選択
- ラインハルトとミューラー相手に圧倒的優勢を築く
- ブリュンヒルトを射程に捉えた瞬間 ハイネセン占領と停戦命令 無条件降伏通達
- シェーンコップらの続戦意見を退け 命令に従い戦闘停止
- 民主主義国家の軍人としての矜持を取ったが 「討ってほしかった」という筆者の本音も吐露
停戦後の会談とその後の人生
- ラインハルトから帝国元帥就任を打診されるが拒絶
- バーラト条約締結後 退役し一市民となる道を選ぶ
- フレデリカと結婚し 束の間の穏やかな時間を過ごす
暗殺未遂と再出発
- オーベルシュタインとレーネンカンプの策謀により暗殺計画が進む
- 仲間の助けで脱出し レベロとレーネンカンプを拘束して交渉
- ハイネセンから離脱し 姿を消す
回廊の戦いと一時講和
- エルファシル独立政府に身を寄せ 革命軍を組織
- イゼルローンを再奪還し 回廊の戦いでファーレンハイトやシュタインメッツを撃破
- 皇帝ラインハルトとの会見を実現し 一時講和を結ぶ
最期とその衝撃
- 宇宙歴八〇〇年六月一日 地球教テロリストの襲撃で致命傷を負う
- 三十三歳という若さで死去
- アニメ本伝 第八十四話「失意の凱旋」でその最期が描かれ ファンに大きな衝撃を与えた


